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薬剤師の転職市場は、近年売り手市場から買い手市場へと変化が起こっています。
エリアや勤務場所によっては、中途採用のハードルが上がっている現状も見受けられるようになってきました。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により、経営が悪化した企業・医療機関も増え、薬剤師に対する有効求人倍率も軒並み低下しています。
薬剤師が転職を検討する際は、長らく続いていた売り手市場に変化が起きている現状を心得ておく必要があります。
納得のいく転職をするために、失敗しないポイントを把握し、計画を立てて行動することが大切です。
今回の記事で、薬剤師の転職で知っておきたいポイントを詳しく解説しますので、転職活動の参考になさってください。
監修者:宮本 知明
保有資格:薬剤師 / 漢方薬・生薬認定薬剤師 / 日本抗加齢医学会認定抗加齢医学指導士 / 日本臨床カンナビノイド学会登録師
病院薬剤師を経験。現在はウェブライターと美容専門学校で講師を務める。薬に代わる自然療法、漢方薬、オーソモレキュラー栄養療法、CBDについて学ぶ。オンラインで予防医学、健康・美容のセルフケア、薬を使う手前の代替療法の認知、薬を減らす薬剤師として活動している。
著書:『薬に頼らない! 自然治癒力を高める本』
目次
薬剤師が転職に失敗しないためにおさえたい5つのポイント
薬剤師の転職に失敗しないためには、次に紹介するポイントをおさえることが必要です。
これらのポイントに沿って転職活動を行うと、スムーズに活動が進められる可能性が高くなります。
具体的にどのような点に気を付けると良いのか、それぞれのポイントについて解説しますので、ひとつずつみていきましょう。
転職理由を明確にする
最初に行いたいのが、転職したいと思う理由を明確にすることです。
漠然とした気持ちで、転職したいと思うだけでは、転職活動の成功にはつながりません。
なぜ転職をしたいのか、転職をして本当に後悔しないのか、転職することで希望(成長したい・収入を増やしたいなど)が叶うのかなど、あらゆる観点から理由をはっきりさせましょう。
理由や目標がないにもかかわらず、転職活動を行っても、良い結果は得られないでしょう。
転職活動の計画(時期・期限)を立てる
転職活動は、だらだらと行っていても効率が上がらないものです。
転職を行う時期や期限を決め、いつまでに転職したいのか計画を立てることが大切です。
転職活動の期間が長引く人の大きな特徴として、無計画のまま活動を行っていることが挙げられます。
計画を立てないと、何から取り組めばいいのかが曖昧になり、時間が過ぎても何も進められなくなります。
〇か月後までに企業のピックアップをする、〇か月後までに面接を受けるなど、転職に向けた具体的な行動スケジュールを立てましょう。
希望条件をリストアップする
ひとくちに薬剤師といっても、勤務エリアや職場によって条件がまちまちです。
その中で、これだけはゆずれないといった希望条件をリストアップしてみましょう。
勤務時間、通勤時間、休日体制、給与面など、重視したいポイントは人それぞれですので、リストアップができたら併せて順位付けも行います。
順位付けをすると、求人を探す際の基盤ができます。職場が探しやすくなるうえ、転職後のミスマッチを減らせるでしょう。
企業のことをよく知る
転職先の候補として考えている企業は、近い将来自分が仕事をするかもしれない企業です。
企業について理解を深めるために、データとして企業情報を集めましょう。
転職をした際に失敗したと感じる場合のほとんどは、転職前のイメージと転職後の実態にギャップがあるケースです。
よって、入社前にできる限り企業について詳しく調べ、条件や状況を納得したうえで入社しましょう。
薬剤師の転職は、想定していた仕事内容や業務量と実態にギャップがある場合に「失敗した」と感じる傾向があります。
そのため、企業情報に加え、これらの点についてもできるだけ詳しく調べることをおすすめします。
処方箋枚数や薬剤師数だけでなく、薬歴が紙もしくは電子のどちらか、薬歴をどこまで残すのかなども確認しましょう。
職場見学ができれば◎
求人情報では、現場の雰囲気や人間関係などが分かりづらいため、転職活動の時点で職場見学をできるのが理想です。
見学することで、理想と現実のミスマッチを防げるほか、職場で求められるスキルもつかめます。
現場の実際の雰囲気を知るには、患者の多い時間帯に見学することが大切です。
勤務スタッフの対応や行動、置かれている設備などを確認しましょう。
また、可能であれば、そこで勤務している薬剤師と少し話してみるのも良いでしょう。
転職サイト・エージェントを活用する
転職活動を行うのに慣れていない段階では、何から始めていいのか分からず、やみくもに行動してしまうケースがあります。
そんなときは、信頼できる相談相手やパートナーを探しましょう。自分の知り合いに相談するのも良いですが、薬剤師に特化した転職サイトやエージェントを活用すると、薬剤師の転職について詳しく情報を得ることができます。
前述した職場見学も、転職エージェントを介して申し込むと、本人に代わって現場への連絡や日程調整を行ってくれます。
見学当日も丁寧に説明してくれることが多いので、プロの力を活用してみるのもひとつの方法です。
薬剤師におすすめの転職サイトを比較
薬剤師の転職では、転職サイトを利用する場合も多いでしょう。
自分に合った転職先を見つけるには、各サイトの違いを知っておくことが大切です。
ここからは、薬剤師の転職で活用したいおすすめのサイトを紹介します。
併せて、サイトを比較する際の切り口や重視するポイントなども理解を深めましょう。
転職サイトと求人サイトは別物
サイトの紹介をする前に、混同しやすい転職サイトと求人サイトの違いを解説します。
転職サイトと求人サイトは、どちらもインターネットなどを通して、求人情報を掲載するサイトです。
求職者は、自分の希望や条件に合った求人を検索し、応募を検討します。
転職サイトは、主に中途採用の情報が掲載されています。転職したい人を対象としている、求人サイトの種類のひとつなのです。
これに対し、求人サイトは、新卒・中途・アルバイト・パート・派遣など、幅広いジャンルがあるため、転職サイトと求人サイト同列で語られることも多いものの、厳密は異なるサービスです。
転職をしたいときには、転職サイトが適しているのはこのためです。
頼りになる転職エージェントを探そう
転職サイトとは別に、転職エージェントという転職サービスもあります。
転職エージェントは、キャリアアドバイザーが求職者と企業との仲介役となり、求職者からヒアリングした希望や条件などをもとに最適な求人を紹介し、転職活動の支援を行います。
転職サイトと転職エージェントは、状況に合わせて使い分けることが大切です。
初めての転職であれば、幅広い相談ができる転職エージェントがおすすめです。
転職の条件が決まっていれば、エージェントとサイトを並行して利用すると効果が上げられます。
転職を迷っているのならば、まずはエージェントに相談してアドバイスを受けるといいでしょう。
どの転職サイトを使うか、どの転職エージェントをパートナーにするかが、転職を成功させる重要なポイントとなります。
マイナビ薬剤師
ここからは、各転職サイトの内容を比較してみましょう。
マイナビ薬剤師は、「マイナビ」や「マイナビ転職」などの就職・転職情報サイトを運営しているマイナビのサービスです。
薬剤師以外にも、医師・看護師・介護職など、医療業界における転職支援で豊富な実績を持っています。
求人数 | 57,847件(2021年8月現在) |
特徴 | ・豊富な求人数や情報量 ・全国に15か所ある面接会場(オフィス・支社)で、エージェントと直接会える ・電話やメールのみでも求人の問い合わせが可能 ・年収、勤務時間などさまざまな要望に対応可能 ・履歴書の添削および面接対策、面接同行などのサポート |
相談方法 | 対面、電話 |
こんな人におすすめ | ・初めて転職する人 ・直接転職エージェントと話して転職活動をしたい人 ・ドラッグストアで働きたい人 |
リクナビ薬剤師
人材派遣のプロフェッショナルであるリクルートグループが運営する、人材紹介サービスです。
求職者の代わりに、専任のキャリアアドバイザーが求人情報を集め、必要に応じて勤務条件の交渉も行ってくれます。
求人数 | 42,122件(2021年8月現在) |
特徴 | ・一般企業の求人数が豊富 ・リクルートグループの安心感および信頼感 ・非公開求人の数が多い ・最短3日で転職が可能 ・「あなただけ3原則」でサポート |
相談方法 | 対面、電話 |
こんな人におすすめ | ・企業で働きたい人 ・キャリアアップや年収アップを目指したい人 ・できるだけ短期間で転職したい人 |
ファルマスタッフ
大手薬局チェーンである日本調剤株式会社のグループ企業です。
一人ひとりと向き合うために、極力顔を合わせて話を伺い、個別相談によってサポートしています。
地域密着で職場を直接リサーチし、求人情報だけでは分からない情報も提供します。
求人数 | 51,599件(2021年8月現在) |
特徴 | ・日本調剤(株)のノウハウを活かした多彩な教育サービスが受けられる ・地域に根差した活動 ・派遣やパートの求人が豊富 ・20年以上にわたる実績 ・福利厚生完備(派遣スタッフ) |
相談方法 | 対面、電話、WEB |
こんな人におすすめ | ・派遣で働きたい人 ・未経験やブランクからの転職を不安に感じている人 ・求人情報以外の情報も詳しく知りたい人 |
転職したい分野に強いかを見極める
上記の表でお伝えしたように、転職サイトごとに得意とする分野は異なります。
各サイトの強みを把握し、どのサイトが自分に合っているかを見極めることが、スムーズな転職につながります。
薬剤師向けの転職サイトは、上記で紹介した以外にも多数あり、どれを選んだらいいのか悩むこともあるでしょう。
まずは自分が転職したい分野を決め、その分野に強いサイトをリサーチすることが大切です。
自分が希望する分野に強い転職サイトを活用することで、希望条件に合う転職先を見つけられる可能性が高まります。
もっともおすすめするサイト
これまで紹介したサイトの中でもっともおすすめしたいのは、マイナビ薬剤師です。
全国に支店を持ち、豊富な求人数を有することで、さまざまな要望に対応してもらえます。
また、エージェントが直接職場を訪問し、内情を理解したうえで紹介するので、転職後のミスマッチも減らせます。
求人情報の読み方から転職先の決定まで、転職活動をトータルでサポートしている点が、安心と信頼のマイナビと呼ばれている所以です。
監修者コメント
宮本 知明
私の場合は特に「求人の数」を意識しながらサイトを選んで使っていました。
求人数が多いサイトを利用することで、手軽に多数の求人を探すことができたので効率が良かったです。
薬剤師が抱えるお悩みベスト5
薬剤師が仕事をしているとき、次のような悩みを抱える人も多いでしょう。
これらの悩みが出てくると、転職を検討し始めるタイミングかも知れません。
転職先の職場で、同じような悩みを抱えることのないように、まずは現状を振り返ってみましょう。
そのうえで、悩みを解決できるような条件を掲げて転職活動を行うと、理想の職場に出会えるかも知れません。
給与が安い
働くうえで、給与は大きなモチベーションのひとつです。
詳しくは後述しますが、同じ薬剤師の仕事でも、勤務する職場によって給与が大きく異なります。
さらに職場の規模によっても給与が変わるため、別の職場で同じ仕事をしている薬剤師の方が給与が高いことも多いのです。
自分の給与が安いと感じるようになったら、転職してキャリアアップを目標とし、給与のアップも目指すタイミングといえるでしょう。
実際に給与アップを目指して転職する人も増えています。
長時間労働・ブラックな職場
薬剤師の職場では、変形労働時間制を採用しているケースがあります。
変形労働時間制とは、労働時間を月・年単位で計算するもので、日によって勤務時間がばらばらになることが多い勤務体制です。
この場合、週の平均労働時間が40時間を超えないよう調整しなくてはいけませんが、調整がうまくいかずに長時間労働となってしまう例もみられます。
長時間労働が恒久化すると、いわゆるブラックな職場となってしまい、転職を考える大きなきっかけとなるでしょう。
同僚・上司・先輩などと人間関係がうまくいかない
薬剤師の職場も、ほかの職場と同様に、人間関係やコミュニケーションが非常に重要です。
職場によって、人間関係に悩む理由が異なります。
たとえば調剤薬局では、少人数の店舗が多いために密度の濃い環境ができあがります。
さらに業務にスピードが求められ、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
病院勤務であれば他の職種との連携に悩み、ドラッグストアでは同僚や他スタッフとの関係性に負担を感じるというのも、たいへん多く聞かれる事例です。
自分がしたい仕事ではない
薬剤師は、職場ごとで仕事の内容が大きく異なります。
調剤薬局は、調剤以外に服薬指導や在宅医療が関係してきます。ドラッグストアでは、調剤に加えて医薬品の販売に関するアドバイスを行う業務もあります。
病院では、患者さんの状態を直接確認して調剤できるのが魅力です。
これらの仕事の中には、自分がしたい仕事ではないものも含まれるでしょう。
働く職場を選ぶ際に、その職場で自分がやりたい仕事ができるかどうかも検討する必要があります。
監修者コメント
宮本 知明
病院によっては薬剤部内での担当が細かく設定されており、分業制となっているケースがあります。
そうすると、自分が行きたい部署・やってみたい仕事があったとしても別の担当へ配属となってしまい、希望が叶うのがいつになるか分からないという状態が続くことがあります。
薬剤師が全体の業務を一貫して行える職場なのか、分業制なのかを確認してみましょう。
薬剤師の職場ごとの特徴を知っておこう
これまでにも紹介しているとおり、薬剤師の仕事は、職場によって業務内容が大きく異なります。
それぞれの職場における主な仕事は、次のとおりです。
調剤薬局 | 調剤業務、服薬指導およびアドバイス、薬歴管理など |
ドラッグストア | 一般医薬品の販売、相談業務 (調剤薬局が併設されているところでは、上記調剤薬局の業務も行う) |
企業(主に製薬会社) | 創薬、医薬情報担当者、治験コーディネーター、臨床開発など |
病院 | 調剤薬局の業務に加え、入院患者への服薬指導、病棟薬剤業務、注射薬調剤業務、医薬品の管理など |
在宅訪問 | 訪問による薬剤管理、服薬指導、健康相談など |
職場別平均年収
職場によって業務が違うことで、平均年収にも差が出ています。
薬剤師全体の年収と比較してみましょう。
令和2年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師全体でみた平均年収は、およそ565万円となっています。
また、職場別の平均年収は次のとおりです。
調剤薬局 | 474.2万円 |
ドラッグストア | 549.2万円 |
企業(製薬会社) | 518.4万円 |
病院 | 558.7万円 |
在宅訪問 | 474.2万円 |
次に、各職場における仕事の特徴や詳細を解説します。
調剤薬局
調剤薬局では、調剤業務・服薬指導・薬歴管理が主な業務です。
調剤業務では、医師が発行した処方箋をもとに薬を処方するのと同時に、薬を安全に服用するための「処方鑑査」も業務に含まれます。
服薬指導では、患者さんに薬の効能、服薬方法、保管方法などの説明をする、病気を予防するために薬をどのように活用したらいいかなどの情報を伝える、薬の飲み残しがないかを確認するなども重要な仕事です。
そのうえで、患者さんの悩みを聞いて症状を改善するためのアドバイスも行います。
さらに、服用している薬の種類や量、日数などが書かれた薬歴を管理・保管するのも、薬剤師のみが行う非常に重要な仕事です。
ドラッグストア
ドラッグストアは、調剤業務のみ・一般医薬品販売のみ・調剤業務と医薬品販売の両方を行うストアの3つに分かれます。
医薬品販売は処方箋がないため、お客様の体質や症状を考慮しながら適切な商品をすすめる知識やコミュニケーション能力が求められます。
医薬品以外にも、店内で販売されている日用品を管理する仕事を任されることもあり、店長になると店舗経営全般に関わります。
近年では、調剤室を併設したドラッグストアが急増しており、この場合は調剤業務と医薬品販売の両方に携わる仕事が可能です。
業務は多忙ですが、さまざまな経験を積むことができます。
企業
薬剤師が就職先として選ぶ企業は、製薬会社・医薬品卸会社・治験支援会社などが挙げられます。
製薬会社では、創薬・臨床開発・生産技術の研究などがメインの業務となります。
また、病院や薬局を訪問して、自社の医薬品に関する情報提供を行う業務もあります。
このとき、営業といっても医薬品の販売は行わないのが、ほかの業種と異なる点です。
医薬品卸会社では、営業や在庫管理を行うほか、幅広いメーカーの医薬品についての情報収集を薬剤師が行い、MS(営業職)によって取引先に伝えられます。
治験支援会社では、新薬の承認に必要不可欠な治験が行われます。
このとき重要な役割を果たす治験コーディネーターになるための知識として、薬剤師の知識が問われる場面が多くなっているのです。
病院
病院では、外来・入院において治療に必要な医薬品が揃っています。
これらの医薬品を、医師の処方箋をもとに処方するほか、患者さんに対して行う薬の説明、治療法の検討会議への参加、抗がん薬の調整、外来化学療法への立ち合い、薬品の管理および発注など、役割は多岐にわたります。
特に、入院患者さんに対して行う服薬指導は、病院薬剤師の大きな特徴とされており、患者さんの回復に重要な役割を果たしています。
病院の規模によっては、認定薬剤師や専門薬剤師を配置するところもあります。
進歩が目覚ましい医薬品について高い知識を有し、実務経験と講習会への参加に加え、試験での合格も必要条件です。
在宅訪問
在宅訪問は、調剤薬局における業務のひとつとされています。
高齢者や体が不自由な人など、自ら薬を受け取りに出向くことが難しい患者さんの自宅に出向き、薬を届けたり服薬指導を行ったりする業務です。
高齢化が進んでいる日本では、在宅訪問のニーズも高まっています。
訪問結果は処方医に報告されるほか、要介護認定を受けている患者さんであればケアマネジャーにも結果が情報提供されます。
薬の服用についての相談がメインですが、飲み合わせの影響や副作用、体調の変化などが起きていないかを確認し、患者さんの状況を医師に伝えるための情報収集も行います。
監修者コメント
宮本 知明
病院の規模にもよりますが、診療科を多数抱えている病院の薬剤部に入ったことで、多くの医薬品と接することができます。
また診療科ごとに多くの医師がいますので、診療科ごとの処方の特徴や、治療に対するガイドラインを学べる機会になりますよ。
薬剤師の働き方にはどんな種類がある?
薬剤師の働き方は、正社員だけではありません。
多様な生活スタイルに合わせて、さまざまな働き方が選べるようになってきました。また、生活スタイルの変化で、今までとは違った働き方を求められることもあるでしょう。
転職を検討する際に、それぞれの働き方について理解を深めておくと、自分の生活スタイルに合った働き方が選べます。
ここでは、薬剤師が選べる働き方を詳しく解説します。
正社員
正社員としての薬剤師の求人は、キャリアアップを目指した職種がみられます。
マネージャーや部長などの役職クラスを目指したい人は、正社員になるのが必須といえるでしょう。
臨床現場における業務や管理薬剤師、医薬品が保管されている物流倉庫の管理業務など、現場を管理する業種が多いのも正社員薬剤師の特徴です。
正社員は雇用期限がなく、給与が固定給である職場が多いほか、昇給する可能性も高くなっています。
また、産休や育休、介護休暇などが取得しやすい点がメリットです。
デメリットとしては、残業がある、休暇が取りにくい、職場によっては転勤の可能性がある、勤務時間の自由がききにくいなどが挙げられます。
契約社員
正社員との大きな違いは、雇用期間です。契約社員は、雇用契約時に雇用期間を定めて働きます。
契約社員の一般的な契約期間は最長3年とされていますが、薬剤師は例外として最長5年の契約が可能です。
契約社員の場合、契約期間の満了が近づくと、希望によって無期労働契約への変更を申し出ることができます。
ただし、無期契約=正社員とはなりませんので、詳細な雇用条件は職場への確認が必要です。
契約社員は、ライフスタイルに合わせた働き方できる一方で、契約更新できない可能性がある、正社員よりも給与が低い、昇進できる可能性が少ないなどのデメリットがあります。
派遣
契約社員と同じく雇用期間が決まっており、雇用主が勤務先ではなく派遣会社であることが特徴です。
給与の支払いや雇用保険、福利厚生の内容などは、派遣会社の規定によって決められる点が、契約社員と大きく異なります。
派遣薬剤師では、正社員や契約社員への転換が前提となる「紹介予定派遣」と呼ばれる働き方もできます。
半年未満の一定期間、現場で働いてから派遣先と直接雇用契約を結ぶものです。
まず現場の雰囲気を知ってから、長く働くかどうかを検討したいという人に適しています。
派遣薬剤師のデメリットとしては、有期雇用であるためスキルアップが図りにくい点が挙げられます。
パート・アルバイト
正社員と比べて、出勤日数の少なさや勤務時間の短さが特徴です。
家庭の事情で長時間働くことが難しい人や、プライベートの時間を確保したいなどの理由で、パートやアルバイトを選択する人も増えています。
パートやアルバイトでも、所定の条件を満たせば社会保険の加入が可能です。
また、2020年4月から施行された「同一労働同一賃金制度」により、同じ職場で同じ仕事をしていれば、パートでも待遇は正社員と同じとなります。
転勤や異動がほとんどないことや、プライベートとキャリアの両立が目指せることが、パート・アルバイトの薬剤師として働くメリットです。
その反面、勤務時間が短い分、業務の裁量は少なくなります。
また、同一労働同一賃金とはいえ、正社員ほどの給与を目指すのは困難です。
フリーランス
薬剤師の資格を活かして、フリーランスとして働く人もいます。
個人的に薬局やドラッグストアと契約して働くケースが一般的ですが、メディカルライターや医療翻訳、講師などの仕事を引き受けるパターンもみられます。
ちなみに、フリーランスとは、特定の組織や団体に所属しておらず、仕事(案件)ごとに契約を行う働き方の総称です。
例えば、特にフリーランスで活動する人多いのはライターやプログラマーなどです。
一方で、個人事業主とは法人と対照的な位置付けで、税務署に開業届を提出した個人のことです。
フリーランスの薬剤師は、自分のライフスタイルに合った働き方ができ、職場も自分で選べることから、大きなやりがいが感じられます。
一方で、収入が安定しなかったり、健康保険料、年金が全額自己負担となるほか、個人事業主は雇用保険および労災保険への加入ができません。
監修者コメント
宮本 知明
パート・アルバイトでも、実際に現場で行っている仕事は正社員の方と同じですが、正社員が最終的な監督責任を追っている場合が多く、責任の大きさが異なります。
また残業や深夜出勤も正社員の場合はどうしても行わなければならないケースがありますが、パート・アルバイトであれば比較的に融通がききやすく、相談の上選択することができます。
また、フリーランスはさらに自由度が増すと言えます。
ある一定期間働いた後に別の職場へ移動する選択もできます。
人間関係に悩まされたり、職場の雰囲気、やりたい仕事の不一致などがあった場合はクイックに職場を変更できるのがメリットです。
知っておくと得する薬剤師の転職ノウハウ5選
転職は大きな労力が必要な活動であり、できるだけ失敗しないような転職をしたいと思っている人がほとんどでしょう。
しかし、実際には転職してから後悔するケースも多く、「前の職場の方が良かった」と感じてしまうのです。
納得のいく転職活動を行うには、どのような活動を行うと良いのでしょうか。具体的な対策を5つ紹介します。
履歴書・職務経歴書を用意する
転職活動を行うには、履歴書が必須ですが、近年では履歴書に加えて職務経歴書の提出を求める職場も増えてきました。
このため、転職活動を行うときには履歴書と職務経歴書の両方を用意しましょう。
履歴書は、手書き・パソコンどちらでも問題ないとされていますが、共通していえることは見やすいように作成するという点です。
手書きであれば文字の大きさを揃え、読みやすいように書きましょう。
パソコンで作成する場合は、フォントを統一し、文字サイズのバランスを整えます。また、どちらの方法で作成する場合も、年号は和暦・西暦のどちらかに統一しましょう。
職務経歴書は、パソコンを使って作成します。
自分が持っている経験・技術・知識を、志望する職場でどのように活かせるかを重点的に記載しましょう。
このほかに、職務経歴と自己PRも必ず盛り込みます。
情報収集・自己分析をしよう
転職活動において念入りな情報収集をすることで、どの職場が自分に合っているかを応募前に判断でき、ミスマッチを防げるようになります。
このため、転職サイトを最大限に活用して情報収集をしたり、可能であれば実際に職場見学を行ったりして、情報を集めましょう。
そのうえで、自分にはどのような仕事が合っているのか、その仕事ができるのはどのような職場なのかなど、転職は自己分析を行うきっかけとなります。
自己分析を行うことで、自分自身の新たな一面がみえるかも知れません。この自己分析が、より自分に合った仕事を見つける足がかりになるでしょう。
複数の転職サイトに登録しよう
薬剤師の転職サイトは数多く存在しており、得意分野や精通しているジャンルもそれぞれ異なります。
転職サイトの登録数に制限はありませんので、ぜひ複数のサイトに登録しましょう。
こうすると、各サイトから幅広く情報を入手できます。
さらに、各サイトのエージェントと話をしてみて、熱意や誠意などを確かめてみるのもおすすめです。
転職サイトを運営する企業の方針によっては、ホームページでうたっているサービスが充分に受けられない可能性もあります。
実際に利用したうえで、使い勝手や担当者の反応などを判断すると良いでしょう。
面接(WEBも含む)の練習をしよう
転職エージェントを活用する際には、面接の練習ができるのが一般的となっています。
対面での面接では担当者が同行するサービスも増えていますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、WEB面接を行う企業が多いのが現状です。
WEB面接はこれまで経験がないという人も多いでしょう。
練習をせずにWEB面接を行うのは不安という人は、エージェントを相手にWEB面接の練習をしましょう。
模擬面接を行うことで、適切なアドバイスをもらい、面接をクリアするコツを伝授してもらうことができます。
地方と都会の転職事情に違いはある?
薬剤師の求人は、都会よりも地方の方が好待遇だといわれています。
これは、地方は都心部に比べて人が集まりにくいためです。
都心部では、娯楽が豊富だったり交通の便が良かったりすることで、求人を出すと比較的人が集まりやすいのですが、地方ではこの反対の事情を抱えるところが多くなっています。
薬局において、地方は都心部に比べて薬剤師の確保がたいへん難しい状況です。
特に、僻地にある薬局や、薬学部がない都道府県の薬局では、その傾向はさらに強まります。
大手のチェーン薬局は知名度が高いため、地方でも人が集まることもあります。
ただ、薬剤師全体でみると、都心部よりも地方の方が求人倍率が低く、希望の薬局に転職できる可能性が高いといえるでしょう。
監修者コメント
宮本 知明
職務経歴書は自分がこれまでに従事した仕事・業務の内容を細かく記載していくことが大切です。
業務の実績を記載することも大切ですが、薬剤師として働く上では”どんな業務に精通してきたのか”、”何ができるのか”というカバー範囲がとても重要だと言えます。
そして、転職を成功させる鍵はやはり”情報”です。
より多くの情報を収集して比較検討するためにも、複数の転職サイトへ登録することをお勧めします。
ただし、あまりに多くのサイトに登録して連絡がひっきりなしにくるような状態は望ましくないため、3箇所程度の登録から始めてみましょう。
コロナ禍の薬剤師転職事情
新型コロナウイルスの感染拡大は、薬剤師の転職にも大きな影響を及ぼしています。
この状況の中でも、自分が納得できる転職を行うには、適切な対策をとる行動が求められます。
ここでは、長引くコロナ禍における薬剤師の転職事情を解説します。
コロナによって薬剤師の転職市場に変化はあった?
コロナ禍において、薬剤師の転職市場は非常に厳しくなりました。
感染リスクを避けるために病院の受診控えが起き、取り扱う処方箋の枚数が激減したため調剤報酬が減少し、調剤薬局の経営悪化が起きたことが、大きな理由となっています。
特に、派遣やパートなど非正規薬剤師の需要が急激に低下し、雇用状況が悪化しているのが現状です。
既存の薬剤師の勤務日数や勤務時間も削減されたうえで、求人件数も減少が続いています。
一部の薬局では、新しいライフスタイルへの移行や、就労環境の変化などにより、離職者が出ていることで、人手不足になっているところもあります。
ただ、多くの調剤薬局では転職へのハードルが上がっているといわざるを得ません。
コロナ禍こそ転職サイトを有効活用しよう
コロナ禍においても転職を成功させるには、転職サイトの活用が有効的です。
サイトを利用することで、自分の強みを再認識でき、選考時のアピールにつなげられます。
さらに、日々変化する転職市場の最新情報を入手するには、転職エージェントの手助けが欠かせません。
買い手市場が進んでいる現状では、希望の条件に合う職場がなかなか見つからず、転職活動が長期化する動きも出ています。
エージェントは、各社の担当者が持つ特徴や面接時の質問の傾向を把握しているところもあり、相談することで内定までの時間を短縮できる可能性が高まります。
監修者コメント
宮本 知明
私感覚ではコロナ禍で求人の数が減少傾向にあると感じます。
求人が見つかったとしても、コロナ禍による経済状況の悪化を反映するように高額な報酬を得られる求人は少なくなっています。
また一時期ではありますが、ワクチン接種会場の人気が高まっているため、薬剤師の枠は看護師や医師に比べれば少ない現状ですが、報酬は高めなため狙っている薬剤師も多い現状です。
薬剤師の転職で失敗しないように情報を収集しよう
薬剤師が納得のいく転職をするためには、どのような行動をとるべきなのかを解説してきました。
まずは失敗しないための5つのポイントをおさえたうえで、職場ごとの特徴や現在抱えている悩みをふまえ、転職したい職場や働き方を考えてみましょう。
薬剤師の転職でもっとも大切なのは情報収集であり、転職サイトは情報収集に欠かせない合理的な手段といえます。
転職サイトを活用することで、希望条件に合う転職先が見つかる可能性を高められます。
コロナ禍の中でも、スキルが高い薬剤師を求めている薬局は多くあり、スキルを兼ね備えていればより良い条件で転職ができるでしょう。
自身のスキルを高めながら情報収集を行い、転職サイトをうまく活用して転職活動が成功できるよう、行動していきましょう。
監修者コメント
宮本 知明
求人にはネット検索すれば出てくるものと、転職サイト・エージェントが非公開求人として抱えているものがあります。
また、求人票を見つけたとしても、情報が更新されていないケースも多々あります。
転職サイトに複数箇所登録することで、請け負っている求人案件の個性の違いも見えてきます。
仕事をしながらエージェントが希望に沿った求人をメール等で通知してくれるのは助かりますよ。