勤務医の平均年収はいくら?
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医者でも勤務医か開業医かどうかで平均年収が異なることは知っていますか?
この記事では「勤務医の平均年収」について解説していきます。
結論、勤務医の平均年収はどこの病院で勤務するのかでも異なるので勤務先を選ぶことが重要です。
勤務医の平均年収を検討する上で、わかりづらい「勤務医の平均年収」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「大学病院の年収が低い理由」についても説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで勤務医の平均年収を知っていただければ幸いです。
また「医師の年収」について詳しく知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
目次
年齢別の勤務医の平均年収
勤務医の平均年収は年齢によって異なります。
それは、年齢によって就けるポストや労働時間が異なるからです。
ここでは、それぞれの年代別に見られる平均年収の特徴について解説します。
まずは、年代ごとの平均年収を表にまとめましたのでご覧ください。
年齢 | 医師の平均年収(男性) | 医師の平均年収(女性) |
30~34歳 | 683万円 | 693万円 |
35~39歳 | 914万円 | 780万円 |
40~44歳 | 1,228万円 | 976万円 |
45~49歳 | 1,397万円 | 1,338万円 |
50~54歳 | 1,652万円 | 1,324万円 |
55~59歳 | 1,769万円 | 1,273万円 |
60~64歳 | 2,090万円 | 1,562万円 |
65~69歳 | 1,677万円 | 1,356万円 |
70歳~ | 1,450万円 | 667万円 |
(引用:「平成27年賃金構造基本統計調査」)
20代の勤務医の平均年収
20代の勤務医の平均年収は男女共に600〜700万円と他の職種に比べてそれほど高いものではありません。
これは、20代の医師の大半が研修であることが原因となっています。医学部は6年制のため、一番若い人は24歳が卒業年齢です。
その後研修医期間が前期後期合わせて5年あるため、医師は20代のほとんどを研修医として過ごすことになります。
まだ1人前としてみなされない研修医とはいえ、仕事のハードさは他の医師と変わりません。
夜間待機当番や救急当番などもあり、勤務時間の長さや仕事量を検討してみても、その割に年収は低いと言えるでしょう。
30代の勤務医の平均年収
30代の勤務医の平均年収は、30代前半と後半で男女の差が入れ替わる点が特徴的です。
年代別の平均年収全体を見ると、この年代でだけ女性勤務医が男性よりも年収が高くなっています。
1人前の医師として経験を積み出した30代後半には、キャリアアップの機会も広がるため、男性医師の場合は平均年収が1000万円に近づくようになっています。
この時点で開業を目指すか、さらに大きい医療機関への転職を目指すかなどの選択により後の年齢での年収が変わってくる時期です。
40代の勤務医の平均年収
40代は経験豊富な年代で、勤続年数を重ねた病院で役職に就く人も出始める年齢です。
経験を積んだ医師の場合選択肢も広く、勤務先の条件によって年収は大きく異なります。
例えば過疎地域の病院で働けば年収は2000万円以上を超えますが、国公立病院の予算は少なめで1000万円を切る場合も多いです。
しかし、公的機関で働くことは専門的な研究ができる、社会的な信頼を得られるなどのメリットもあります。
そのため、医師としてどの方向性を重視するかによって選択が異なるでしょう。結果として平均年収はこの間の中央値の金額が表れており、前後の年代と比べて顕著な年収アップは見られません。
また、40代前半では男性と女性医師で200万円以上の年収の差があります。
これは、女性の場合、家事や育児を負担するケースが多く、勤務時間の短縮により差が出るためです。
50代の勤務医の平均年収
50代はベテランの域に入る年代。医師の全体数の中でも一番多いのが50代で、院長、副院長クラスのポジションに就く人も多い年代です。
管理側の役職へのキャリアアップに伴い、年収も上がる傾向にあります。
一方、50代に入ると忙しい病院内で勤務医として働くことに体力的な限界を感じ出す人が多いのも事実です。
ライフプランを優先し、開業を検討する医師も少なくありません。
60代の勤務医の平均年収
医師という職業はニーズが非常に高いことから、定年後も非常勤などの形式を取り働き続けることが可能です。
また、開業医には定年の概念はないため、70代、80代でも現役で勤務する医師もいます。
つまり、60代以降の働き方は人によって様々です。
役職についている場合は高い年収となりますが、ワークライフバランスを重視して働いている場合にはそれなりの年収となります。
60代の勤務医の平均年収が、一般的な職業よりは高額なものの、定年を迎える60代後半を境に緩やかに下がっていくのはそのためと思われます。
診療科目別の勤務医の平均年収
ここでは、診療科目ごとに勤務医の平均年収を紹介します。
診療科目 | 平均年収 |
脳神経外科 | 1480.3 |
産科・婦人科 | 1466.3 |
外科 | 1374.2 |
麻酔科 | 1335.2 |
整形外科 | 1289.9 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2 |
内科 | 1247.4 |
精神科 | 1230.2 |
小児科 | 1220.5 |
救急科 | 1215.3 |
その他 | 1171.5 |
放射線科 | 1103.3 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7 |
(引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」)
勤務医の平均年収が高い診療科目の特徴
上の表で、診療科目によって平均年収が異なることがお分かりいただけたかと思います。
平均年収が高い診療科目には何か特徴があるのでしょうか?
ここでは3つの特徴をご紹介します。
- 絶対数が少ない
- 自由診療部分が多い
- 一定した需要がある
1つずつ詳しく解説します。
絶対数が少ない
絶対数が少ない診療科目の医師は存在価値が高くなるため、相対的に年収が上がります。
産婦人科はその一例です。産婦人科の平均年収は1466万円と、脳神経外科に次ぐトップクラス。
その背景には、産泊当直やオンコールなど時間外勤務が多く激務なため、なり手が少ないという点があります。
また、分娩に関係したトラブルは訴訟問題になることも多く、若手医師が敬遠しがちな科目です。
医師不足な一方で、近年では不妊治療の需要もますます高まっています。
婦人科系の治療に関係した専門的な知識と技術を要する医師の数は少ないため、高い技術を持つ医師に対して高給与の待遇をする病院も多いです。
絶対数が少ない診療科目は、激務である、専門技術を要するなどそれなりの理由があります。年収が高くなるのにも納得できるでしょう。
自由診療部分が多い
自由診療部分が多い診療科目は、各クリニックが自分で料金を設定できるため、高収入になりやすい傾向があります。顕著な例が美容整形科です。
美容整形は病気を治すためではなく、美しくなりたいという願いを叶えるための施術で、ある意味ではサービス業の一面がある診療科目と言えます。
広告も自由なため、広く宣伝し患者を増やして収入を上げることも可能です。
美容外科医になるためには、基礎である形成外科的手技を取得してから転職することが推奨されています。
美容外科医として高収入を得られるようになるまでには、ある程度の経験を積むことは不可欠でしょう。
自由診療の施術は、患者もこだわりを持って高額な費用を出すため、医師の高い年収は技術に対する報酬と言っても過言ではないはずです。
一定した需要がある
一定した需要があるという点も、年収が高くなる診療科目の特徴の1つ。
外科医は一人で行えることに限度があり、特に大きな手術になると複数の医師が共同で担当する場合が多いです。
一人の患者であっても、手術が大きければ複数の外科医が担当することから、外科医の需要は大きいと言えます。
また、外科は急患や緊急手術なども多く長時間勤務も求められ、外科医は非常に激務です。
しかし、24時間ニーズがある職種であるとも言えます。
麻酔科医も手術の際には欠かせない存在です。
一定の需要があるとともに、常にリスクと背中合わせの責任重大な仕事をしているため、常に人手不足の状態にあります。そのため、麻酔科医の収入も他の診療科目に比べ高い傾向です。
勤務医で年収3000万は可能?
マイナビDOCTORの行ったアンケート調査によると、勤務医のうち年収3000万円以上であると回答した人は全体の7%ほどです。
この数字からすると、勤務医で年収3000万は不可能ではないが、かなり難しいということがみて取れます。
地域や勤務条件によっては年収3000万以上を提示する求人もありますが、在宅医療や自由診療などの専門性が高く求められる分野であるケースが多いです。
自由診療の美容形成外科や産婦人科の不妊治療などは、ニーズの割に高度なレベルの治療を提供できる医師が少なく、技術があればそれに応じた高収入が得やすい分野となっています。
また、院長職などの役職に就く場合には年収3000万円以上のオファーがある場合もあるでしょう。
大学病院の給料が低い3つの理由
大学病院の医師と聞くと、権力性が高いイメージがありますが、給料は低いのが実情です。
それには次の3つの理由があります。
- 研究がメインになるため
- 年功序列が強いため
- 人材の流入が多いため
1つずつ詳しくご説明します。
研究がメインになるため
大学病院には、一般臨床だけではなく教育機関としての役割があります。
大学病院では、国からの科研費を受給できますし、珍しい症例や知識を持った医師が集まりやすい環境です。
そのため、研究を行うには最適な環境と言えます。
こうした研究をメインとした体制は病院全体の収益を圧迫する原因で、研究や教育は収益にはならないため、経営維持のためには給与を削る必要があるというわけです。
年功序列が強いため
病院の経営スタイルや診療科によっては、医療界にも実力主義が広まりつつあります。
しかし、大学病院においては未だに年功序列の体制が根強くあるのも、給与が低い理由です。
特に労働条件の割に給与が低いと感じやすいのが中堅の医師。
能力は低く、定時にきっちりと帰る入局の長い医師の年収は高いのに対し、激務に耐えている中堅の医師の給与が上がらないという実情もあるようです。
このため、若手医師や中堅医師が出世前に退職してしまい、さらに年功序列が強まるという状況も見られます。
人材の流入が多いため
大学病院には研究目的の医師が多く集まるため、患者数に対して医師の数が多いという状況も生じます。
これも、医師一人当たりの給与が低くなる理由です。
また大学病院の雇用体系は特殊で、医師でも大学職員として雇用されることになります。
そこに医師としての特殊性は考慮されておらず、一般的な公務員としての扱いです。
また若手医師の場合医員と呼ばれる枠になり、給与は時給で換算されることもあります。
研究目的で集まる医師の人数の多さと、その雇用枠の形式も給与が低い理由なのです。
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勤務医の年収を知っておこう
この記事のポイントは次の通りです。
- 勤務医の年収は年代が上がるにつれ増えていく
- 勤務医の年収は診療科目により異なる
- 勤務医で年収3000万を超える人はわずか
- 大学病院の給料は安い
勤務医の年収は全体的に見ると、年齢が上がるにつれて高額になっていきます。
また、定年の年齢になっても役職につくことで安定して高収入を得るケースも多いです。
その一方で、年収3000万を超えるケースは稀であるとも言えます。
この記事で、勤務医の年収について具体的な状況をご紹介しました。
医師の労働環境についての理解を深める助けになれば幸いです。